日本でも、中国でも(多分アジア各国でも)焼肉っていうのはとてもメジャーな食事だと思いますが、ただ、何を焼くかは、国によって特徴がでるものだと思います。
今回は、日本であんまり見かけないが、中国でわりとよく食べられている焼肉の変わりネタをご紹介します。
動物の生殖器を食べる習慣と「同物同治」という考え方
中国では動物の性器を食べる習慣はありますが、いつからだったのかは調べられませんでしたが、古くからこういった習慣があるように思います。
なぜなら、これは漢方医学に関連しているからです。
漢方では、「同物同治」という言い方はあります。コトバンクによると
中国の薬膳(やくぜん)には、「同物同治(どうぶつどうち)」という言葉があります。
これは体の中の不調な部分を治すには、調子の悪い場所と同じものを食べるのがいい、という考え方。
つまり、肝臓の悪いときには、牛、豚、鶏などの肝臓(レバー)を、胃の病気のときは胃(ガツ)を、心臓が悪いときは心臓(ハツ)を、腎臓疾患のときは腎臓(マメ)を食べると、回復に役立つということです。
中国では、副生物が精肉以上に大事にされ、値段も高いといいますが、それにはこうした健康に対する考え方も、大きく関係しているのです。
つまり、腎臓を強くしたい場合は腎臓を。男性の精力を強めたい場合は動物の生殖器を、女性も同様の考え方ですね。
では、これは果たして正しいのか?については、本記事の最後に少し調べた結果をご紹介しようと思います。
どんなものが食材にされているのか?
豚の子宮と卵管(中国語:猪花肠)
中国語に「腸」という文字がついていますが、腸ではなく、子宮と卵管です。
食感はコリコリしてて豚耳(ミミガー)の食感に似ていると言われています。
腎臓、マメ(中国語:腰子,内腰)
中国では主に豚と羊の腎臓が多いですが、ロバやウサギなど、他の動物の腎臓も中国の屋台でよく出回るそうです。
以下は、ウサギの腎臓です。
一口噛むとマメ汁が溢れでるのが「良いマメ」らしいです。
陰茎(中国語:鞭)
オスの陰茎もよく食されます。例えば、「牛鞭」「羊鞭」です。
牛鞭
牛鞭はこのような感じです。
このような切り方が、食べやすいそうです。
牛鞭はいわゆる「男性ホルモンが含まれるので食べると元気になるよ」という言い方はあるが、ただ実際に科学的に証明されたわけではないようで、ただの噂らしいです。
が、食べる男性は多いので、やはり心理的な要素が多いかもしれません。
羊鞭
睾丸(中国語:蛋)
これもよく「牛蛋」「羊蛋」が出回りますが、「猪蛋」もあります。
自分は食べたことありませんが、ここまで味付けされると、ほとんど本来の味が分からなくなるような気がしますね。まあ、臭みを消すのにたっぷりつけるのが狙いかもしれません。
鶏の睾丸(中国語:鸡子)
これは日本でも食べられているような気がしますが、雄鶏の睾丸です。
サイズは小さく、食感も良いらしいので、焼肉だけではなく、煮物やスープなどでもよく使われています。
メス牛のアレの外側(中国語:牛欢喜)
中国語で「牛欢喜」と書きますが、日本語の文字に直訳すると「牛歓喜」、これは文字にするのはちょっと書きづらいのですが、メス牛のアレの外側です。画像をご参考ください。
あと、Googleで「牛欢喜」を入れて検索すると、それなりの画像が出てきます。
この「牛欢喜」は主に広東で人気があるようで、理由ははっきりわかっていませんが、一説によると、とある映画で主人公が食べながら部位の名称が言っていたので、認知度が上がったというのと、他の説として、ただただ広東の人はなんでも食べるから当然ながらそう言った部位も見逃さないと、いうことだそうです。
その他(中国語:枪库、枪根、枪皮)
枪库:睾丸を包む皮
枪根:根っこ
枪皮:皮
ここで「枪」と言うのは、漢字そのものの意味は「銃」、つまりオスの性器を指しますが、ここで出る皮とか、根っことかはそれの関連部位です。
本当に、無駄がないように工夫されていますね。
効果はほんとにあるの?
では、もちろん女性もいますが、主に男性がこのような変わりネタを焼肉、炭火焼で唐辛子やクミンなどの調味料をつけて食べるのですが、目的はもちろん精力向上とか、滋養強壮とか、という効果があると言われています。
果たして、効果は本当にあるのか?というと、結論は「必ずしもそうとは限らない」です。
漢方医学では「同物同治」(中国語でいうと、【吃啥补啥】)という考え方は、確かにあります。
これは、食べたのもの中で、人体に栄養を与えるタンパク質やビタミンなどが含まれているから起源しています。効果があるものとして、例えば、
血の豆腐(中国語:血豆腐)
この豚の血で固めた豆腐のような形や食感がしているものです。豚の血は人間の血の成分が似ているので、含まれている鉄分を摂取すると、鉄分不足による貧血の症状が良くなるということで、効果があると言えるものになります。
家畜の心臓・ハーツ
これも人間の心臓の筋肉に栄養を与える効果があるため、ハーツを食べると心臓に良い、というのも確かにあります。
ただし、もちろん「なんでも」というわけにはいけず。今回ご紹介した性器官系を食べると同じ効果があるとは言えないようです。
例えば、腎臓はタンパク質の補充には役立つかもしれませんが、腎機能を増強できる医学根拠はない。
また「鞭・抢」と言われているオスの性器は、ほとんど海綿体だけ。オスホルモンと言われているもの、切り取られたあとでホルモンの分泌が止まるし、効能がほとんどなくなるので、男性に良い根拠は証明されていないとのことでした。
逆に、焼くことで、人体に害をもたらす成分は増えるので、頻繁に食べない方が良いと専門家が指摘していますね。
最後に
いろいろとご紹介しましたが、まずは、「同物同治」(中国語でいうと【吃啥补啥】)というのは確かに効果あるものはあるが、すべてはそうではない。
また、変わりネタの焼肉は良いという民間的な言い方はあるが、証明されたわけではなく、逆に「焼く」を頻繁に食べると、人体に害をもたらす可能性が高いとのことですので、「美味でもほどほどに」ということですね。
では今回はここまで。
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