中国でわりと有名になったお話をご紹介します。
主人公はこの二人↓
左の男性の名は「鲍玺」(bao4xi3 日本語の読みだと「パオシー」が近いかと思いますので、ここで「パオさん」と呼んでおこう)
右の女性の名は「Nitsa Katerahong」(ここで「ニサ」と呼ぼう)
パオさんは1983年中国北京生まれで、事業が成功し、企業家である。
ニサは1992年にタイ生まれ、もともと男性でしたが性転換手術を受け、女性になった。そして2014年のMTU(Miss Trans Universe ミス トランス ユニバース)でチャンピンとして一躍有名人になった。
今回は、記事タイトルにも書いたように、この二人がいろんな困難を乗り越え、夫婦になったお話です。
鲍(パオ)さん
パオさんは北京生まれですが、家が貧乏で、両親の負担を軽減するために、若くも学校を退学し社会に出た。
後に東南アジアの商人に認められ、商売を始める。工芸品の転売からスタートしたパオさんは徐々に商売の規模が大きくなり、お金に余裕のある企業家となった。
事業でうまくいっているパオさんですが、プライベート生活はうまくいっていなく、2014年に長年付き合ってきた彼女から「もうあなたの顔は見たくない」と別れを切り出された。
落ち込んだパオさんは少しの間の休暇を取り、タイに考察がてら旅行に行った。
そのとき、ちょうどタイでMTU(Miss Trans Universe ミス トランス ユニバース)が行われ、興味本意でショーを見にいって、そこでニサさんに出会った。
ニサ(中国語では「妮莎」)
タイでは、貧しい家庭の男の子は性転換手術を受け、生活の手段として女性になって稼ぐという風習がある。
ニサもそのケースです。
もともと女の子とよく遊んでいたニサですが、中学生のときに父親が他界し、貧乏な状況が一層深刻になる。
そのときに女性になって稼ぎたい考えは生まれたが、性転換手術はお金がかかるため、大学卒業までバイトしてお金をためて、手術を受けた。
医者から手術したら、男性にはもう戻れないこと、定期的に女性ホルモンを取り入れないといけなく維持費用も高額のこと、寿命が短くなることを告げられたあとの決断ですので、苦渋の決断でしょう。
MTU大会に出てパオさんに出会う
2014年タイに傷心旅行に向かったパオさん、ちょうどMTU大会が行われた会場に立ち寄り、そこでニサに出会った。
チャンピンの栄冠を獲得したニサが観衆たちと記念写真を撮る際に、パオさんは会話の機会を得て、連絡方法もゲットした。
当時、MTU2014の栄冠を手にしたニサに声をかけたのは、当然パオさんだけではなかったが、ニサにとっては、稼ぐのはこれからという時期なので、断りもせず深入りもせず、適当に対応したそうだ。
なぜなら、ニサのような人にとっては、稼げるのは30歳まで、と言われているからだ。急いで稼がないとまた大変な人生に戻るから。
大会の翌日、パオさんはニサを食事に誘い出し、少しの間、タイの旅行ガイドしてほしいと依頼し、やっとOKをもらえたそうだ。(紳士的だがしつこく申し出たそうです…)
ニサにガイドしてもらった間、パオさんはニサの大変な過去や女性になった背景を知り、同情すると同時に、ニサの勇気に心打たれる。
付き合い、結婚
旅行を終え帰国したパオさんは、何度もニサに連絡をとった。好感を持たれていると感じているニサだが、特にパオさんとの付き合いに期待していなかったようだ。
その後しばらく、ほかの大会に出たニサを応援に赴き、だんだん心の距離が縮まり、やがてパオさんの行動に心打たれ、プロポーズに承諾したそうだ。
認められない婚姻
性転換した男性の性別はタイの法律では定まっていないようで、タイでは婚姻関係が認められてないそうですが、
パオさんは婚姻関係の証明の代わりに、仕事の中心をタイに移したうえ、ニサとタイで盛大な結婚式を行い、500万元(約1億円)の別荘を購入し、ニサとの新生活を始めた。
当然、中国でも同様、パオさんの両親にニサを紹介された時も、家から追い出されたそうでした。
理由は明快で、血が繋がる子供が生まれることは不可能で、それが中国人にとっても大きな問題であり、当然中国のご両親に受け入れられることではなかった。
周りから「どうせ遊んだら終わり」という冷ややかな噂も流れたが、パオさんは気にすることはなかった。
7年経って今、幸せなのか
結婚後、ニサは仕事をやめ、専業主婦としてパオさんの身の回りや家計の管理をこなしながら、ファッションデザインを専攻したニサ自身は、デザインした服を販売するなど、幸せに生活しているようだ。
出張のたびに、可愛い人形が好きなニサのために、購入し、展示ができるほどに家に飾っている。
また、結婚後もニサのために至れり尽くせり、財力が許す限り、ほしいものはニサに与えた、姫様のような生活を満喫しているようです。
パオさんはどう思っているのか、というと、
パオさんにとってニサはかけがえのない存在であることは間違い無く、世間体や偏見に気にすることなく、ニサのことも、とても大事にしいている。
なので、結婚して七年経った今でも、ニサのことをお姫様のように溺愛し、ニサとの婚姻を後悔していないという。
夫婦生活は?寿命は?夫婦円満の秘訣は?
当然のことながら、夫婦生活など、民衆の疑問を答えるインタビューもあった。
夜の生活
性転換したニサは、体は女性と同じようになっているので、夫婦の夜の生活は特に問題ないそうだ。
40歳までしか生きられない?
ニサのような人にとっては、
と言われており、それに対してパオさんは、
40歳しか生きられないというのは過去医療技術が発展していない時の状況で、現在の医療技術をもって、二年に一度女性ホルモンを取り入れれば、80歳まで生きられるとのこと。
喧嘩は?
日常生活でぶつかって喧嘩することは避けられないが、パオさんはニサより9歳年上なので、「妻であり、娘のような」気持ちで接しているという。
喧嘩はするが、すぐに仲直りだそうです。
インタビュー動画(中国語)
中国語の動画になりますが、パオさんとニサの自宅にインタビューした映像がyoutubeに上がっています。
最後に
異色なカップルなので、中国では有名になっています。
いろんなインタビューに対して、パオさんとニサは平然として隠さず普通にいろんな質問に答えてくれる。
七年経っても変わらないこの ”異色カップル”、せっかくここまで歩んできたので、末長く幸せになってほしいですね。
では今回はここまで。
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